仏涅槃図

県指定 有形文化財 絵画(松島町) 平成2年4月27日指定

釈迦が阿利羅抜提河の辺に立ち、沙羅双樹の下で、涅槃を迎える様子が描かれている。
北を枕に横たわった釈尊を中心に摩耶夫人、菩薩らが会して、劇的な入滅の時に出会うが、これを囲む沙羅の樹は次第に枯れて白さを増していく。
これらの描写は、大画面であるにもかかわらず写実性に優れ、ていねいな手法で描かれている。
画布の質や顔料、画法などから室町中期の作と考えられる。寺伝では狩野元信筆とする。
(絹本著色 縦227cm 横183cm)

 

釈迦説法図

県指定 有形文化財 絵画(松島町)平成2年4月27日指定 

院内中央に釈迦三尊を配し、周囲を多くの比丘形で埋めている。
外院には千手観音などが位置して、それぞれ釈迦の説法に聴き入っている。
また、下方には寺の庇護者と思われる束帯武士を上畳に坐らせ、右には高僧を椅子に掛けさせて頂相として表しているが、この2人の加わった点は、釈迦説法図にあっては特異な例であり、人物描写に中国元代の影響が見られるのも注目される。
(絹本著色 縦159.8cm 横113cm 室町時代)

法身性西像 蘭渓道隆像 明極聰愚像

県指定 有形文化財 絵画(松島町) 平成2年4月27日指定

  

         ▲法身性西像       ▲蘭渓道隆像      ▲明極聰愚像

これら3人の禅僧は、瑞巌寺の前身である円福禅寺ゆかりの人で、法身は開山、蘭渓道隆は2代、明極は10代の住職である。
禅僧の肖像は頂相と称し、寺の伝統を支える重要な役割をもっている。
これら3幅の内容を勘案すると、鎌倉末期から室町前期の制作によるもので、宗教史においては中世禅宗の実相、美術史上では肖像絵画の本県最古の姿を伝える。
(法身性西像絹本著色縦101cm横49.5cm)
(蘭渓道隆像絹本著色縦101cm横49.5cm)
(明極聰愚像絹本著色縦93.5cm横45.3cm)

 

仙台城本丸大広間障壁画鳳凰図

県指定 有形文化財 絵画(松島町) 

桃山期狩野派の筆法によって、戦国武将伊達政宗の精神をも表そうとした画面は、覇気に満ち、雄勤で華やか世界を作り出している。
動的で正確な描線と華麗な色調を主体に画面構成しているが、元は右手に桐の大樹が立ち上がり、その枝の下に鳳風が配置されたものと推測される。
しっかりした構図の取り方あるいは装飾を重視する彩色法にも、狩野派が推進した桃山期濃絵)の的確な技法が示される。
金地と金雲の効果的な配列にも、この時代の特色を見出すことができる。
広大な空間を誇った本丸大広間の中枢を飾った障壁画であり、初期仙台藩の美術にとっても、また、藩で最初の画員となる作者・狩野左京にとっても最盛期の白眉と言える優品である。
紙本金地著色
縦160.6×横319cm