第十六巻
見台(けんだい)
(学芸員 丹 美保)
当館には麗(うるわ)しい「見台」が展示されています。 「見台」とは書物を見たり読んだりするために用いる台のことで、座った状態で使用されました。 奈良時代には使われ始めていたようですが、桃山時代になって「蒔絵」の描かれた立派なものが作られるようになりました。 展示されている見台は高さが約六五センチメートル、全体に黒塗りに金蒔絵が美しく、引き出し付きの基台・二本の支柱・書見板で構成されています。 書見板には、連なる山々の間から流れ出た急流を背景に、岩や岸辺に咲く満開の桜花、下草などの風景が盛り上げた蒔絵で描かれ、随所に伊達家の「三引両紋」「竹に雀紋」が散らされています。 基台とその側面にも同様の風景と家紋が散らされています。 家紋をあしらい丁寧に仕上げられた品であることから、伊達家の姫君や側室などの身分の高い女性が使っていたと思われます。 黒と金の華やかさがいかにも「伊達」を思わせる逸品です。 |
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