第十七巻
矢筒(やづつ)
(学芸員 丹 美保)
※細工に使用された植物 はおそらく「ゆうがお」かと 思われます。 |
当館にはちょっと面白い形の展示品があります。 下の写真をご覧ください。これが何かお分かりになりますか。 これは「矢筒」といい、狩りや戦いの場で、矢が濡れたり汚れたり壊れたりしないように矢を納めて運ぶための道具です。 「空穂(うつぼ)」ともいわれます。 弓矢は古くから狩猟用、武器、そして神事にも使用されるとても重要なものでした。 矢入れも弓矢の様々な用途に合わせ装飾性も豊かに変化していきました。 展示の「矢筒」は高さ約七十五センチメートル、口径約11センチメートルの大きさがあり、植物※をくり抜いて作られています。 全体に漆塗りで、胴の上部からちょっと膨らみのある部分まで夕顔の花と葉、蔓(つる)が金蒔絵で優美に文様として描かれています。 ユニークな形といい、塗物・文様の美しさからみて上級の趣味を持つ人物が使用していたものと思われます。見ているだけでも面白い逸品です。 |
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