革羽織(かわばおり)

(学芸員 丹 美保)

当館にはおしゃれな「革羽織」が展示されています。現代風にいえば「革ジャンパー」です。
とくに鹿皮は柔(やわ)らかな肌触(はだざわ)り、通気性の良さ、水や摩擦(まさつ)に強い等の特性を持ち、古来より武具・衣装・足袋(たび)・小物などに利用されてきました。
防火・防寒にも優れ火事装束(かじしょうぞく)としても使われていました。

展示の「革羽織」は仙台藩二代藩主伊達忠宗(ただむね)公が狩猟の際に着用していたものといわれています。
全体に褐色(かっしょく)ですが、これは「ふすべ」といわれる藁(わら)や松の煙(けむり)でいぶす方法で染められたからです。
背中と袖後ろに「竹に雀紋」が白く抜かれ、全体に細かい白い縞模様(しまもよう)が見えます。
革に型付けをしていぶし、後でそれを取ると染める前の白い部分がこのように模様となって現れてきます。
 

 革羽織の丈は約90センチメートル、裄丈(ゆきたけ)約65センチメートルで、今見てもとても大きいように見えます。
忠宗公の身長は166センチメートルと記録にあり、成人男性の平均身長が約156センチメートルくらいの当時としては、だいぶ大柄なお殿様でした。

色褪せることなく残っている「粋」な大名衣装のひとつといえるでしょう。